Room 386

見晴愛や日常について

見晴曲語り その3 「イヴの夜 〜a graduation's eve〜」そして時はさりげなく…

見晴の全キャラソンについて語っていくこの企画
3曲目は卒業式シーズンの今にぴったりな「イヴの夜 〜a graduation's eve〜」です!
(え?もう入学式だろって?まだギリギリ3月だから許してください)

「イヴの夜 〜a graduation's eve〜」は My Sweet Days の3曲目!
このアルバムにしか収録されていない曲です

基本情報
曲名:イヴの夜 〜a graduation's eve〜
収録CD:My Sweet Days
作詞:くまのきよみ 
作曲:M Rie
編曲:米光亮
属性:-

歌詞はこちら

廊下ですれ違う それだけで
臆病な胸 きゅんと音たてた
そんな事件ばかり いくつでも
起こしていたよね

ずっと当たり前のように
すごしてた日々
「また明日ね」って別れて

そして時はさりげなく わたしを運び
今日はイヴの夜 とても眠れないまま
壁にかけた制服も 最後のかげり抱いて
寂しそうに 揺れている

みんなはどんな風に この夜を
すごしてるのかな

人はホントに悲しい別れの時ほど
「さよなら」なんて言えない

そして時はさりげなく すべてを運び
「明日は卒業」って そっと耳打ちをした
たぶん泣いてしまうよね あなたの顔を見たら
でも想いは伝えたい

そして時はさりげなく すべてを運び
「明日は卒業」って そっと耳打ちをした
たぶん泣いてしまうよね あなたの顔を見たら
でも想いは

そして時はさりげなく すべてを運び
こんなイヴの夜 少しは眠らなくちゃ
そして素敵な笑顔で約束するの
「いつか、この場所でまた逢えるね」

イヴはイヴでも…

まずこの曲で伝えておきたいこと

この曲はクリスマスイヴの曲ではありません!
イヴクイックの夜でもありません

いやタイトルちゃんと読めばわかるんですけど、一般的にイヴというとクリスマスイヴですし、アルバムのジャケットも冬服なので、ぱっと見(聴)で勘違いしやすいんですよね(実際に何人か勘違いしてる人を見ましたし、私も最初勘違いしました😇)

じゃあなんのイヴなのかというとgraduation(卒業)ですから、卒業式前夜の歌です
これがわかっていないとこの曲の歌詞は何も入ってこないので大前提事項です

きらめき高校の卒業式は3/1なので2/28の歌ということになりますね
(じゃあやっぱり時期外れじゃねーか)
見晴の曲は特定の日を歌った曲がいくつかあるんですが、その内の1曲になります
(なので本当は2/28に投稿したんですけどね~、他で手一杯でした)

卒業式に告白されることがゲームの目的であるときメモ(のヒロイン)において、このイヴの夜は特別な意味を持ちます。特に見晴は作中で碌に主人公と接することができない(主人公との仲を深めることができない)ので、他のヒロインよりも告白が成功するかどうかがわからず、深く悩む夜だろうと想像します。
そう考えると、この卒業式前夜にフォーカスしたこと、そしてそれを見晴のイメージソングとして作詞・作曲したスタッフは素晴らしいセンスをしていると思います。

告白できないまま卒業式を迎えてしまった曲

とても切ない曲です…
作中、見晴は主人公と廊下で偶然ぶつかったり、留守番電話をかけたり、デート場所で人違いを装ってばったり出会ったり、どこかにいる私を見つけてねと言ってみたりと、割とコミカルなアプローチで日々を過ごしていて、そんな日常を楽しんでいる節が見えます
でも、肝心な事が言えないまま過ごしてきてしまったのですよね
それではいけないことは見晴もわかっていたけど、片思いな日々が楽しいからと言い訳するのように、まだ2年ある、まだ1年ある、まだ3学期がある、まだ1ヶ月ある、まだ1週間ある…とずるずる来てしまった、今日はイヴの夜
日々が面白おかしいだけに、このシリアスな状況がより切迫したものに感じられます

そして、

人はホントに悲しい別れの時ほど
「さよなら」なんて言えない

たぶん泣いてしまうよね
あなたの顔を見たら
でも想いは伝えたい

この歌詞からわかるように、見晴は告白をしても自分の恋は成就することはないことがわかっているのです…

「いや、わからんだろ。この次の日に伝説の木の下で告白して成功するかもしれんだろ」という意見もあるかと思います
自分もそう思いたいのですが、当事者である見晴が一番わかっているんじゃないかな…と考えると、やはり旗色は悪いのかなと思っています
???「予想と期待は違うものよ」

 

ちょっと余談ですが、

壁にかけた制服も 最後のかげり抱いて
寂しそうに 揺れている

この歌詞がOVAのこの伊集院のシーンを思い返します
彼女もまた、(ある意味見晴以上に)このイヴの夜に想う一人でしょう…

壁にかけた制服も 最後のかげり抱いて 寂しそうに揺れている

そして時はさりげなく すべてを運び「明日は卒業」ってそっと耳打ちをした

この歌詞・この表現がとても好きです
気が付いたらもう卒業だった…という時の流れがよく表れていると思います
まるで望んでいないのに時が勝手に気付かないようにこの状況にした
そして前日になって、前日になるまで黙っていたかのように、急に「明日は卒業」と現実を突き付けられた、ハッとさせられたかのような印象を受けます

自分がずっと保留にしてきたのに、どこか他責にしようというようで、見晴の自分を守ろうとする心情が垣間見えるような気がします
でも本当はわかっているはずなんですよね、自分のせいだと…

特に落ちサビのこの部分は楽器の音がほぼ消え、天使のような声だけになるのが相まって、とても美しく儚い雰囲気が感じられてたまらなくなります…

でも想いは…

落ちサビの最後、あえて「伝えたい」と続けず、ここで区切るのが切ないです
伝えたい、でもきっと泣いてしまう、でも想いは…と、心情が行ったり来たりする見晴の葛藤をより強く感じます

少しは眠らなくちゃ

一体何時なんでしょうね…
きっとずっと悩んでいたんでしょうね…

そして素敵な笑顔で約束するの

ここがめちゃくちゃ健気なんですよね…😭
見晴のこういうところが本当に大好きです

きっと最後は笑顔でいたかったんでしょう
きっと凄く凄くがんばって笑顔を作るんでしょうね…
そして「さよなら」はやっぱり言えない(言わない)のでしょうか

I wish にも「またどこかで会えるよね」と再会を望むような歌詞が出てきますが、これは未練があるわけではないと思っています
吹っ切って、成長した綺麗な自分で再会したいという想いなんだと思います

そして卒業式へ…

この歌の後、卒業式で見晴は想いを伝えられたのでしょうか
それとも、結局言えなかったのでしょうか

もしかしたら、作中で告白しにくる見晴もこうした葛藤を経て伝説の木の下に来ているのかもしれません(あるいは来れなかった…)
見晴の告白条件がランダムなのはこの葛藤があるからなのかもしれません。
他のキャラとのフラグを立てず、見晴との接点を増やすといった見晴を受け入れる行動をしていれば、見晴は告白する方を選択してくれる(確率が高まる)…と解釈できると思います

そんなことを思いながらゲームをプレイすると、2/28か3/1に映り変わる瞬間、その刹那に、このイヴの夜の見晴が頭に浮かんできませんでしょうか
そして見晴が伝説の木の下に来てくれたなら…抱きしめてあげたいですよね

マイナーだけどとても好きな曲

My Sweet Daysにしか収録されておらず、おそらく見晴曲の中でもマイナーな曲ですが、上述した通り、とても切なく、見晴の繊細な恋心を丁寧に綴っている名曲だと思います。
音の方も美しく綺麗な旋律が歌詞にマッチしていて、とても好きな曲です
この曲だけにMy Sweet Daysを買っても損はないんじゃないでしょうか
My Sweet Daysは明るい曲が多く、悲しい・切ない曲はこの曲が唯一であるのがまた一層この曲を引き立てていると思いますし、アルバムの幅も広げていると思います

今回はこんなところで
毎年この時期はこの曲を聴いて、イヴの夜の見晴を想ってみてはいかがでしょうか

 

「そして、時はさりげなく…」