ときめきメモリアル初代の隠しキャラ
館林見晴の唯一のイベント「最初で最後のデート」
2月22日固定で発生することから222イベントと呼ばれているこのイベントが、なぜ特別なイベントなのか?
なぜこんなにもプレイヤーの心を打つのか?
見晴の心境は?
主人公はどう受け取ったのか?
私なりの解釈を語っていきたいと思います
システム的な観点から語る222イベント
まずは内容ではなく、作中での222イベントの在り方や発生条件といったシステム的な視点から語ります。
そもそも222イベントとは(知らない人向け)
館林見晴の唯一のイベントであり、卒業式直前の日曜日である1998年2月22日に発生するイベントです。
主人公が振り向いてくれる事を夢見て高校生活を送ってきたが、そんな健気な想いももはや叶わぬ夢になってしまったことを悟った彼女が、勇気を振り絞って「最初で最後のデート」に誘い、夢にまで見た主人公とのデートの後、別れを告げる…というイベントです(一部ときめきメモリアル大辞典の文章をお借りしました)
PS版で初めて実装された待望の見晴のイベントがこの悲恋のデートであり、多くのミハリスト達の涙を奪った切なすぎるイベントです
ぜひ実際のプレイで見てみてください。
(一応、ブログの最後にYoutubeのリンクを貼っておきます。
ときめきメモリアル唯一の失恋イベント
おそらくスチルイベントにおいて、失恋のイベントというのはこれしかありません。
2の光と琴子の三角関係になった時に、屋上で見られるイベントはある意味失恋のイベントとも言えるかもしれませんが、単独キャラではこれが唯一だと思います。
残酷な発生条件
222イベントは非常に特殊な発生条件をしています。
- 学校の廊下で3回以上ぶつかっている
- 春と海のデート乱入イベントを両方とも発生している
- 告白条件を満たしている女の子が2人以上いる(見晴を除く)
- 1998年2月22日に誰ともデートの予定が入っていない
- 1~4を全て満たした上で5/16の確率で発生
普通にプレイしていたらこの条件を満たすことはあまりないと思います。
ときメモに慣れたプレイヤー程、攻略対象以外のキャラの告白条件を満たすことはしないでしょうし、心情的に最後の日曜日はラストデートの約束を入れたりすると思いますから。
隠しキャラの隠しイベント、秘匿されたイベントなのだと思います。
そして本題なのですが、、特筆すべきは3の条件です。
「告白条件を満たしている女の子が2人以上いる(見晴を除く)」
PS版では見晴とのデートイベントがある!と聞いて、その内容は知らないまま初めてこの発生条件を見た時、自分は絶句しました。
このときめきメモリアルというゲームにおいて
卒業式直前の日曜日時点で
2人以上の女の子の告白条件を満たしている
ときメモを少しでもかじったことがある人なら、もうどうあがいても見晴と結ばれることはないことがわかりますよね。。
そんな条件で発生するイベントなんて…察するに十分です。
見晴は隠しキャラであり、こちらから一切アプローチできない特殊なキャラです。
廊下のぶつかりや留守番電話は全て確率で発生、特定のコマンドで登場しない、デートを誘うこともできない、そもそも電話をかけることもできない。
同じ隠しキャラである伊集院レイですら、こちらから電話をかけることができます。
(まぁ厳密に言えば、春や夏のデート乱入イベントやクラブマスターになった時のイベントはこちらから会いに行けるイベントと言えなくもないですが)
そんなキャラに、唯一こちらから会いに行けるイベントがこの悲恋のイベントなのです
こちらから会いに行ったら、デートをしたら、見晴とは結ばれないのです…
また、先に書いた通り、これらの発生条件を偶然で狙うには難しく、1年目から計画的にプレイしなければ満たすことはできません。
そしてこのイベントの発生は、3年目の卒業直前の日曜日
つまり、このイベントを見るためには、プレイヤーにプレイの始めから終わりまで、見晴を失恋させるために行動し続けなければならないということです。
あまりにも残酷すぎませんか…😭
もっと幸せなデートイベントを用意してあげてほしかった…
見晴を幸せにするためのプレイがしたかった…
しかし、その発生条件(メタ的な演出)も相まって、このイベントはとても素晴らしく感動的な物になっています。
見晴にもプレイヤーにもこんな酷いことをさせる開発陣に怒ればいいのか、
こんなに美しく感動的で、見晴というキャラクラーの魅力を引き出してくれたイベントを設けてくれた開発陣に感謝をすればいいのか……わかりません。
ちなみに、発生確率が5/16というのは昔ネットのとある個人サイトで見た条件であり、正確なのかはわかりません。大体3割ぐらいの確率というのは他の記載でも見ますし、体感的にもそれぐらいだとは思うので、自分はこれを信じています。
そのサイトではこの5/16のことを「ミハリン係数」と呼ぶことすると書いていて、妙に記憶に残っていますw
これだけの条件を揃えても、見晴が勇気を持ってデートに誘えるのは5/16、と思うと、彼女の臆病な心が感じられませんか?(ちょっと話は逸れますが、ここでも運が絡むというのは見晴らしいなとも思います。)
ただ、臆病とはいいましたが、この確率って結構リアルだと思います。
高校卒業前に好きな人に最初で最後のデートを誘うなんて、、人生を3回繰り返しても、できるのは1回ぐらいじゃないでしょうか?
こうした事を鑑みると、いざこのイベントが発生し、見晴からデートのお誘いの電話が来た時…
それだけで、見晴頑張ったんだね…凄いね……と慈しむ想いになります。
内容について語る222イベント
ここからは内容に沿って語っていきます。
始まりは1本の電話
お誘いの電話が来ると、ああ、来たか…来てしまったか…と心がざわつきます。
このお誘い、始めは「暇だったらでいいんだけど…」と弱腰なのですが、
最後は「お願い、来てね!」と強く懇願して電話を切ります。
段々と来てほしい…という想いがあふれてしまったのかな…と思うと、胸が苦しくなります。
この電話ですが、中央公園の公衆電話からかけているのか、家電からかけているのかはちょっとした考察ポイントです。
自分の考察では、、中央公園の方かな。なんとなくですけど。
先に待っていそうな気がしています。
(主人公の家と見晴の家と中央公園の位置的にはどちらもありえる位置関係でした…w)
出会いはぶつかり、そして初めての…
中央公園に来た主人公に(ドン)とぶつかって来る見晴
いいですよね…ここのぶつかり、この二人ならではの出会い方という感じで…
照れ笑いながら「また、ぶつかっちゃった」って言うのがまた可愛いです
そしてここで初めて見晴が自分の名前を名乗ります。
見晴が作中で主人公に名前を明かすシーンは、これ以外だと卒業の告白時だけなので、自己紹介を受けるだけで胸に来るものがあります。
ようやく、ようやく自己紹介できたね見晴…
そして、「謎の女」表記から「館林」に変わるのも感慨深いです
(卒業時は台詞のウインドウがないから「館林」表記は本当にここだけかもしれない)
ドンじゃなくてトン
館林「・・・。」
主人公「どうしたの?」
館林「うぅん。なんでもない。それより、散歩でもしようよ」
この「・・・。」におそらく見晴は、主人公が目の前にいることや念願のデートができる喜びや感動、そして悲しみといった色んな感情を抱いているのでしょう…
そして
「トン」
と抱き着く見晴
見晴と言えば「ドン」と音を立てる廊下でのぶつかりですが、ここでは「トン」なんです
このメタ的な演出が凄くいいです。。
見晴が3年間ずっと思い描いていた、一番幸せな時間、そして直ぐに終わってしまう時間
見晴が本当に幸せそうな顔をしていて、見ていると切なすぎて涙が出てきます…
間違いなくときメモで一番好きな一枚絵です
私、あなたが……!………あなたが…。
最後に告白しようとする見晴。
222イベントで2番目に涙にさそうのがこのセリフです。
ここの菊池志保さんの演技が素晴らしいです。
「私、あなたが」は少し早口で、しかし「が」でピタッと言葉を止めています。
告白しようと思い切って勢いよく切り出せたのに、言葉に詰まってしまった…という状態が感じられます。
どうしても言えない、言葉が出てこない…
喉の本当にすぐそこまで出かかっているのに、出てこない…
それは勇気を出せないだけではないのかもしれません。
主人公の眼に、見晴が映っていないことを感じてしまったのかもしれません。
それは見晴もわかっているはず。
なぜならこの主人公には他に愛しているヒロインがいるんですから。
告白しようと主人公に眼を合わせた時、それを悟ってしまった、それで言葉に詰まってしまったのかもしれません。。
そして2回目の「あなたが…。」では、もう弱々しい声になっており、既に諦めてしまっているような様子が見ていてとても辛いです。
このときめきメモリアルの世界は、伝説の樹の下以外の告白では成就されない世界
ここで告白しても、きっと上手くいかない…
そんなメタ的な感じ方もしてしまいます。
この1台詞に、どれだけ見晴の想いがこもっているのでしょう。
最後まで言えなくて、居たたまれなくなり「さよならっ!」と言い残して去っていく見晴
主人公は彼女を追うことなく去っていき、222イベントは悲しく終わります。。
本編以外のコンテンツから語る222イベント
これだけインパクトのあるイベントですから、本編以外のコンテンツでも扱われています。
イメージソング
見晴のイメージソングには222イベントを意識したであろう曲があります。
- ダイアリーはつぼみのまま
- Dream of You
「ダイアリーはつぼみのまま」には以下の歌詞があり、222イベント直前の見晴の心境を歌っていることがわかります。
最後に一度でいい きっとデイトしてね
それで終わりにするから
見晴がどのような想いでこの222イベントに臨んだのかが伺える切ない曲です。
「Dream of You」は222イベントそのものを歌った曲です。
歌詞にもろに「最初で最後のデート」と出ていますね。
今日は はじめて ふたりっきりね
うれしくて 時計を忘れた恋は White Wind ひだまりの中
最初で最後のデート
夢は White Love 恋人気分で
せつない Dream of you
デートの始めから終わり、そしてデート後の見晴の心境が綴られており、見晴ファンは必聴の曲です。
瞳と瞳を合わせてみても
あなたを遠く 感じるの
この辺りの歌詞は、前述した「あなたが……、あなたが……。」で声に詰まってしまった心境の考察に通じるものを感じますね。
いずれ全曲レビューの記事で語りますので、ここで簡単な紹介レベルに留めます。
これらの曲を聴いてから222イベントを見ると、より感動的に映ります
OVA
描写はないのですが、OVAの見晴は222イベントのデートをしており、詩織に電話でその報告をするシーンがあります。
泣きながら
「その人と一緒に並木道を歩いた…ずっとずっと心の中で思い描いていた…」
「素敵な想い出になった…」
「素敵な…素敵な一日だった」
と伝えるシーンは涙なくしては見られません…(今見返して泣きながら書いてます…)
そしてこの後、(告白する)勇気を出してと詩織にエールを贈るんです…
信じられませんよ…もう健気すぎる…良い子過ぎるよ……😭
この後、詩織は見晴から受け継いだ、”ありったけの勇気”で想いを伝えて結ばれます。
見晴の失恋が、エールが、詩織の幸せに繋がったと思うと少しだけ救われます。。
これだけで1記事書けてしまうのでこの辺で。
なお、このシーンで流れる専用BGM「涙の雨」は必聴です。
このBGMのためだけにサントラを買う価値があります。(自分は買った)
BGM「二人で小径を歩きたい…」
本編で流れるんですが、この流れで語るのがよさそうなのでここで。
このイベントで流れる専用のBGMです。
これ、聞けばわかると思いますが、見晴のテーマBGMである「恋、おやすみなさい」のアレンジです。
キャラクターテーマBGMのアレンジが作中にあるのは、非常に少ないです。
タイトルもイベントの内容に合わせた専用のものです。
BGM一つとっても扱われ方が違いますね
そしてこのタイトルですが、言わずもながら、作中の台詞から由来しています。
「私、この道をあなたと歩くのが夢だったの…」→「二人で小径を歩きたい…」
良いタイトルですよね…
余談ですが、自分は「小径」を「こみち」と読むことをこのタイトルで初めて知りました^o^o^o^o^(20年くらい前の話な!w)
メロディの方も、原曲の儚げな印象とは違い、デートを祝福するような明るめの音色で、それでいて、このイベントの日のような、まだ冬の寒さが残る晴天を思わせる曲調になっており、明るさと切なさを同時に感じられる良いアレンジだと思います。
特に2ループ目のシンセが美しくて好きです。
主人公は追いかけるべきだったのか?
さて、この記事で一番言いたいことがこの章です。
このイベントを見た時、「いや主人公追いかけろよ!!!」って思いませんでしたか?
もちろん自分も思いました^o^
でも、長らくこのイベントについて考えた結果、今では「否」だと思っています。
なぜなら、このイベントの発生条件にあるように、主人公には意中のヒロインが他にいるからです。
そして、見晴もそれを悟っているからこそ、最初で最後のデートに誘ったと捉えています。
ずっと主人公を見ていた見晴だからこそ、もう望みがないことがわかっているのです。
見晴は初めから諦めているのです…。
それは「もっと、もっと早く勇気を出していたらよかったな。そしたらもしかして…」という作中の台詞からもわかります。
見晴が諦めていなければ、伝説の樹の下で告白していたでしょう…
「他のヒロインが勝手に主人公のことが好きなだけで、主人公がそのヒロインをアプローチしていたとは限らないじゃないか」と言われれば、まぁその可能性もなくはないのですが、基本的にときメモというゲームはこちらからデートに誘うなりして相手をときめかせるわけですから、自分は222イベントはそういうイベントだと捉えています。
主人公にとっては、他に意中のヒロインがいるわけですから、ここで呼び止めるのは不自然な行為です。
発生条件と辻褄が合わない。あるいはここで見晴に乗り換えるような軽い男となってしまいます。(そんな男を見晴が好きになりますかね?)
なので、ここで追いかけられても、見晴としても「どうして…?」となると思います。
「うるせえ!!他のヒロインなんてどうてもいい!見晴の幸せ考えたら追いかける一択だろ!!」という意見は好きです。
むしろこの主人公は優しいまであります。
この主人公としては急に公園に来いなんて言うデートに付き合う義理はないですし、なんなら自分の恋路としてはデメリットしかない行為です。(意中のヒロインに見られたらまずいので)
しかもときメモにおいて重要な意味を持つ卒業式の、直前の休日です。
それなのに、見晴から「この道をあなたと歩くのが夢だったんだ…」「もっと早く勇気を出していればよかったな」なんてほぼ告白のようなことを言われても、驚きながらも受け止めてあげていますし、デートにも「楽しかったよ」と伝えているんですから。
見晴自身「優しいんだ。」と言っていますしね。
なお、「教えて~your heart~」の222イベントでは去ろうとする見晴を呼び止めて二人が結ばれますが、そもそも「教えて~your heart~」の222イベントは発生条件が違う(他のヒロインの告白条件を満たすという条件がない)ので、本編のそれとは意味合いが異なるイベントであり、呼び止めるのは不自然ではないというのが自分の解釈です。
想い出になれた見晴
ではこの222イベントはバッドエンドなのかと問われると…私はちょっと違うと思っています。
なぜなら、主人公が最後に「(…館林さん、か……。)」とつぶやくからです。
そう、見晴は名前を憶えて貰えたんですよ…
先に書いた222イベントを歌った曲にもこんな歌詞があります。
忘れないでね、私を by「ダイアリーはつぼみのまま」
あなたの中で わたしをそっと 想い出にして by「Dream of You」
見晴は、せめて自分のことを覚えておいて欲しい、想い出にして欲しい、と願っていたのです。
それが達成されたんです…
別にイベント上は無くてもいい台詞なんですよこれ。
主人公のただのぼやきですから、何か展開があるわけでもない。
でもこの台詞をわざわざ入れた。その意味を推し量りませんか?
それはやはり名前を憶えて貰えた、主人公の想い出に残ったということを明示的に表しているのだと思います。
この一言を入れてくれた開発者に拍手を送りたいです。
見晴にとって、決してグッドエンドではないですが、何もできなかったバッドエンドでもない。
ビターエンドといったところでしょうか。
そう思うと、少しは救いのあるイベントなのではないかと思えます…
見晴の失恋を偲びながら、見晴の勇気とほんの小さな願いの成就を祝福しながら、今回はこの辺りで筆を置きます。
「少しだけ…このままで…」